エキスパートが紹介する、社員を定着させる6つの戦略
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世界では今、社員が大挙して仕事を辞めてしまう「大量退職時代」と呼ばれる現象が起こっています。なぜこのような動きが起こるのでしょうか。この動きに対して企業は何ができるのでしょうか。そして、辞めてほしくない社員をつなぎとめるにはどうすればいいのでしょうか。
パンデミックは、仕事のやり方を根本的に変えただけでなく、仕事について再考するきっかけを多くの人にもたらしました。2021年7月だけでも、米国で400万人の社員が退職しました1。また、大西洋を挟んだ英国でも、社員の20%がパンデミックをきっかけに自分のキャリアを再考したと述べており2、スペインとオーストラリアでは、この割合がそれぞれ24%と27%に跳ね上がっています。
企業の経営幹部にとって、社員のエンゲージメントを促進し、新しい職場を求めるニーズに対応するとは、どういうことなのでしょうか。この問題を探るために、私たちはビジネスの研究者で人材管理とリーダーシップ開発に詳しいMargaret Mackay氏にお話を伺いました。
「パンデミックは私たち全員に、立ち止まって省みる時間をくれました」と、Mackay氏は言います。「そのおかげで、私たちは『この仕事は今も魅力的なのだろうか。これが私のやりたいことなのだろうか』と考えるようになったのです」
そして、こうした自省の時間が、企業に問題をもたらす可能性があります。大切な社員を失うことを望む企業はありませんが、パンデミックから回復しつつある今、企業にとっては、必要なスタッフをつなぎとめることが、かつてないほど重要になっています。では、社員の定着率を高めるために、企業はどのような取り組みを行うべきなのでしょうか。
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社員定着率とは?
あなたの会社でどのような状況が起こっているのか、そして社員のつなぎとめに問題が生じているのかを知るには、社員の離職率と定着率を調べる必要があります。社員定着率とは、あなたの会社に一定期間とどまっている社員の割合です。
社員の定着率と離職率が判明したところで、問題があるかどうかを把握するにはどうすればいいのでしょうか。状況はあらゆる業界で異なります。例えば、ヘルスケアやホスピタリティの業界は一般に離職率が高く、民間部門は公共部門と比べて離職率が高くなる傾向にあります。
自社の離職率を業界の平均値と比較するというのも1つの方法です。しかし、数字から分かることには限界があります。重要なのは、離職率があなたの会社に問題をもたらしているかどうかです。
「一定の離職者は常に出るものであり、それ自体はきわめて健全なことと言えます」と、Mackay氏は指摘します。「仕事が合わない人や何か他のことをしたいと考える人は出てきますし、個人的な理由で退職する人もいます。ただし、離職者が増える傾向にある場合は、状況を追跡することがきわめて重要だと思います」
「英人材開発協会(CIPD)の調査によれば、離職率を実際にトラッキングしていた企業は、調査対象企業の半分にも及びませんでした。多くの企業は、採用活動やスカウト活動にかけている費用を調べようとします。それも素晴らしいことですが、その対称的な側面である定着率にも目を向ける必要があります」
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社員定着戦略が必要な理由
ビジネスを成功させるには、適切なスタッフの確保が不可欠です。「たいていの場合、成長を阻害する要因は人の問題、すなわち人材不足がです」と、Mackay氏は言います。ですから、有能な人材を見つけた企業は、その人材を確保したいと考えるでしょう。人材をつなぎとめることには、以下のメリットがあります。
採用コストを削減できる
スタッフを失ったり採用者を増やしたりすると膨大なコストがかかる可能性がありますが、このコストは金銭的なものにとどまりません。「生産性に影響が及んだり継続性が失われたりすることになります」と、Mackay氏は言います。「人を入れ替えるには労働市場に探しに行かなければなりませんが、これには高いコストがかかりますし、すぐにスタッフを見つけられないこともあります」
Glassdoorの調査によれば、平均的な企業は、新しい労働者を1人雇うのにおよそ3,000ポンド(約47万円)の費用と27日の期間をかけています。しかも、離職率が上がれば、費用も日数もたちまち増えてしまうのです。
ノウハウを維持できる
離職率が上がると、その企業に固有のノウハウが失われることになります。これは非常に大きな混乱をもたらし、収益に影響を与える可能性があります。「例えば、特定のクライアントの仕事をしている法律事務所は、そのクライアントとの関係が突然脅かされることになります」と、Mackay氏は説明します。
この脅威がさらに深刻になるのが、パイロットなど、トレーニングに長い期間をかける必要がある職業です。英国では今、貨物ドライバーでこの問題が表面化しています。貴重な人材をつなぎとめておくことができれば、企業はクライアントとの関係を維持し、自社のノウハウを守ることができます。また、そのノウハウを他のスタッフに引き継ぐ機会を確保できるのです。
士気を保つことができる
「社員の入れ替わりが多くなると、不安感が生じ、スタッフの士気にきわめて大きなダメージをもたらす可能性があるのです」と、Mackay氏は言います。スタッフがいなくなると、残ったスタッフが手一杯の状態になり、パンデミック時に大きな問題となったように、燃え尽きてさらに辞めていくという悪循環が生まれます。
他の社員が辞めることはないと確信できる安定した職場環境を作ることが、信頼の構築につながります。また、社員が他のスタッフのトレーニングや教育、サポートに時間を割きたいと考えるようになります。
社員のエンゲージメントと定着率
エンゲージメントが高い社員は、企業にとどまる可能性が高くなります。これは驚くことではありません。そればかりか、彼らは企業が最もつなぎとめておきたい人材でもあります。なぜなら、エンゲージメントは、生産性、ロイヤルティ、顧客満足度など、他のあらゆる面でメリットをもたらすからです。一方、離職率が高くなると、士気が下がり、エンゲージメントに影響が及びます。
この2つの問題は密接に関連しているため、エンゲージメント戦略の効果を測定し、維持することが定着率の向上にも役立ちます。したがって、企業は組織の状況を把握し、社員が仕事について考えていることや感じていることを理解し、問題の芽を摘み取れるようにする必要があります。
社員が仕事を辞める理由
多くの経営者は、この理由を知っていると考えています。しかし、それはおそらく間違いです。「管理職の80%は、離職の理由を給与だと考えています」と、Mackay氏は話します。「ところが、Business Insiderが行った調査によると、退屈さ、フラストレーション、ワークライフバランス、将来性のなさの4つが主な理由でした」
「Peter Drucker氏が述べているように、『良い仕事をしてもらいたいなら、良い仕事を与えなければならない』のです。私たちにモチベーションをもたらすものは数多くあると私は考えています。給与はその1つに過ぎません」
こうした見方は、Work Instituteが発表したレポート「2020 Retention Report」でも裏付けられています3。このレポートによれば、人々が仕事を辞める理由の上位3つは、キャリア開発、ワークライフバランス、上司の振る舞いでした。また、自分の価値観と企業文化の不一致を理由に離職する人も増えています。給与や福利厚生はランキングの下位に沈み、これらを理由に挙げた離職者の割合はわずか9%でした。
社員の離職につながる問題は多岐にわたっているため、対処するのが大変だと思われるかもしれませんが、良い知らせもあります。それは、対処可能だということです。先のレポートの著者は、社員の離職理由の78%は企業が防止できるものだったと推定しています。つまり、4分の3の離職は阻止できるというわけです。
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社員の定着率を高める主な戦略と手法
スタッフの定着率を高めるために企業がまず行うべき取り組みは、人々が仕事に何を求めているのかを知ることです。Mackay氏もこの見方に同意して、次のように述べています。「人々が辞める理由を給与や不満と決めつけるのではなく、彼らと対話して意見を聞くことが重要です。しかも、退職時だけでなく、定期的に聞くようにするのです」
そうすれば、社員定着率に関する問題を早期に発見できます。注視すべき点はいくつかありますが、ここではそのうちの6つを取り上げます。
キャリア開発
社員のパフォーマンス評価を定期的に行い、彼らが期待していることとその期待に応える方法を把握しましょう。福利厚生や手当ではなく、学習、能力開発、成長の機会に注力してください。Mackay氏が引き合いに出した調査によれば、給与を上げても社員を1年しかつなぎとめられないのに対し、学習やスキル開発に投資すれば3~5年のつなぎとめが可能になります。
社員に関する計画の策定
Mackay氏によれば、計画を策定する方法の1つは、信号機のようなシンプルなシステムを採用することです。例えば、仕事が不調で指導が必要になる可能性がある社員を赤色、ポテンシャルがあり、新しいプロジェクトに取り組む準備ができている社員を黄色、熱意があって能力が高く、新しい役割や役職を与えるのに適した社員を緑色といったように分類します。
効果測定
CIPDのレポート「Resourcing and Talent Planning 2021 survey」によれば、定着率に関する戦略を評価するためにデータを収集している企業はわずか12%でした。これでは、社員が離職する理由を管理職が完全に勘違いしてしまう可能性があります。どのような手法を用いている場合でも、その手法が機能しているかどうか評価することが欠かせません。
新人研修と早期の指導
「2020 Retention Report」によれば、調査参加者の3分の1以上が入社1年以内に退職していました。また、1年目に退職した人の3人に2人が、入社から半年以内に会社を辞めていました。このことは、新規採用者に対する効果的な研修とサポートが欠かせないことを示しています。
報酬と表彰
社員が昇給を最優先に考えているわけではないからといって、仕事がうまくいったときの報酬を望んでいないということではありません。仕事の成果を公に認められた社員は、その職場により長くとどまる傾向があります。ある調査では、職場で常に評価されている社員や評価されることが多い社員の63%は、今後3~6か月間に新しい職を探す可能性がきわめて低いことがわかっています4。
「仕事を評価されることは、その対象となった社員にとって素晴らしい出来事であるだけなく、他の社員にとっても良い出来事となります。なぜなら、会社に社員を評価するという価値観があることや、会社が自分たちのことを気にかけ、大切にしていることがわかるからです」
信頼
パンデミックでスタッフが突然自宅での仕事を余儀なくされたとき、多くの企業は生産性に不安を抱きました。Mackay氏によれば、この不安のために会社が必要以上に管理を強化したことが、かえってスタッフを遠ざけ、離職の原因を作り出す事態となっています。
働き方がさまざまに変化する中では、管理職がチームとの関係を支える信頼の基盤を強化することが欠かせません。このような形で能力開発と評価に注力することで、企業は優秀な人材との関係を構築し、会社にとどまりたいと思わせることができるのです。
その他の記事
2 Adecco「Resetting Normal: Defining the New Era of Work」、2020年
3 Work Institute「2020 Retention Report: Insights on 2019 Turnover Trends, Reasons, Costs & Recommendations」、2020年
4 Survey Monkey「Can employee recognition help you keep them longer?」、2019年