社員への満足度アンケート: 適切な質問をする
世界的なパンデミックを受けて、企業は世界最高水準の従業員体験(EX)を実現する必要に迫られています。しかし、従業員体験を測定できないままで、素晴らしい従業員体験を構築できるでしょうか?そこで、社員に満足度アンケートを実施して変化を実現する方法をご紹介します。
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新型コロナウイルス感染症の影響で、企業はリモートワークに取り組まなければならなくなりました。また、従業員の一時解雇や労働時間の短縮などを余儀なくされた企業もありました。こうした状況は社員にとって大きなプレッシャーになっています。同時に、企業にとっても、社員が仕事をしやすいようにサポートしなければいけないという大きなプレッシャーがかかっています。
つまり、従業員体験(EX)が最重要課題に押し上げられたのです。
世界の一部で慎重な職場復帰が進む中、企業は自分たちに社員への配慮義務があることに気づき始めています。最も効果的な対応策の1つは、使用するテクノロジー、環境、コラボレーション方法など、社員の日々の仕事での体験を改善することです。
EXを重視するのは、複雑な世界(プロセスファースト)からシンプルな世界(社員ファースト)へ移行するということです。そうすることによってのみ、組織は、人間だけが提供できるイノベーション、創造性、生産性を引き出すことができるのです。
Workplaceで業務を簡素化
オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。
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社員への満足度アンケートの質問と従業員体験
しかしEXを変えるといっても、測定もできないものだとすると、どうすればいいのでしょうか?そこで、社員が何を感じ、何を考え、何を経験しているかを把握するためのツールとなるのが、社員への満足度アンケートです。有意義な変化をもたらすために必要なデータとインサイトが得られます。
適切なアンケートを行うためのアドバイスを以下にご紹介します。
社員の満足度とは?
社員の満足度は、一見シンプルな概念です。人事部門が使う用語で、誰かがどれほど仕事に満足しているかを表すものです。しかし、人の満足度には色々なことが影響しています。仕事を楽しんでいるのか?同僚との関係はどうなのか?自分のキャリアパスをどう考えているのか?これらの要素が、満足している従業員と不満のある従業員の違いを生むのです。
社員への満足度アンケートは、これらのことを総合的に判断し、従業員一人ひとりの気持ちや組織全体の健全性を把握するために行われます。会社では、人が幸せであればあるほど、経営がうまくいくという法則があります。
社員エンゲージメントと社員の満足度
この2つの言葉は同じ意味で使われることが多いのですが、それぞれ別の概念です。満足度が充足感であるのに対し、社員エンゲージメントは、人々が仕事や職場とどのように関わっているかという大局的な視点に立ったものです。
英国のEngage for Success社は、エンゲージメントを「組織の全構成員が日々ベストを尽くせる適切な職場環境を作り上げるためのアプローチ」と定義しています。このグループは、エンゲージメントの「4つの実現要因」として、重要な戦略的ストーリー、魅力的なマネージャ、組織の完全性、社員の声が尊重されているという感覚を挙げています。
エンゲージメントと満足度の違いを理解する最も簡単な方法とは、たとえばアウトプットに注目することです。満足度は人材確保には必要かもしれませんが、それ以外のパフォーマンスとの相関関係はありません。一方、エンゲージメントは、アウトプットや生産性に直結するものです。
この両方に対応できていない企業は、次の2つの結果のいずれかに直面するでしょう。仕事に満足しているチームは、そのことに満足し、雇用を維持するために必要最低限のことしかしないかもしれません。逆に、熱心ではあるが不満のあるチームは、業績を上げつつも、他の仕事を探すかもしれません。
エンゲージメントは全体の満足度に影響しますが、満足度を評価することがエンゲージメントの測定に役立つことも事実です。2つのアイデアは本質的に関連しているのです。
社員への満足度アンケートとは
仕事への満足度を測るには、アンケートが一般的です。社員への満足度アンケートをうまく作成することで、チームの幸福度や人々の気持ちの背景を測定することができます。満足度アンケートは、社員の「鬱憤晴らし」ではなく、組織の強みと弱みを把握するために行うべきものです。その学びを生かし、変化を起こせるかどうかはあなた次第です。
パルスアンケート
パルスアンケート(パルスサーベイ)は、パルス(脈拍)という名の通り、ビジネスの現状をさっと把握するのに役立ちます。企業は頻繁にアンケートを実施することで、刻々と変化する意見やインサイトを把握することができます。中には、毎週社員に向けてアンケートを実施する企業もあります。この迅速なプロセスは、年次アンケートに代わるものではなく、補完するものです。
パルスアンケートは、短時間で済ませられる点が肝心です。せいぜい3~4個の質問で構成して、より多くの人から回答が得られるようにしましょう。また、頻繁にフィードバックを求めることで、企業が従業員の考えを気にかけていることを示すこともできます。また、企業文化や全体的な従業員体験の質も高めることができます。人事管理ソフトウェア会社のBreath社は、不健康な職場が英国経済に年間157億ポンドの損失を与えていることを明らかにしました。
パルスアンケートの代表的な質問
パルスアンケートでは、「はい」「いいえ」で答える質問ではなく、「強く反対」「反対」「どちらともいえない」「賛成」「強く賛成」など、尺度で回答してもらうのが一般的です。
回答者に何を評価してもらうかは、何を調べたいかによります。例えば、「仕事に満足している」、「ワークライフバランスがとれている」、「自分のキャリアパスが明確に見えている」、「仕事では目標を達成することができる」といったことを盛り込んでみてはいかがでしょうか。
360度アンケート
360度アンケート(フルサークルフィードバックやピアレビューと呼ばれることもある)は、従業員が自分の仕事について上司以外の人からフィードバックを集めることができるようにするためのものです。同僚や、場合によってはクライアントから、社員のパフォーマンスについて匿名のフィードバックを受けます。その後、社員は逆に同僚に対してフィードバックを行います。決められた時間に全員がフィードバックを受け取ることで、360度アンケートは完了です。
360度アンケートの狙いは、日ごろ本人に面と向かって伝えるのはためらわれるような意見も、機密保持を徹底して、誰もが安心して共有できるようにすることです。社員は自分の成果を正直に知ることができ、マネージャーはメンバーの長所と短所について貴重なインサイトを得ることができるのです。
しかし、360度アンケートには、注意点がいくつかあります。Mary Vinson氏が「360度フィードバックの長所と短所」で指摘しているように、人は人を傷つけるような発言をすることがあり、意見が対立することもありますし、友人だけに自分の評価を求めるという問題もあります。そのため、これらのプロセスを適切に管理する必要があります。質問された人が点数稼ぎをしないように、どのような表現ができるかを考えましょう。
360度アンケートに見られる典型的な質問
360度アンケートでは様々な質問をすることができますが、「その人が優れている点は何か」「改善できる点は何か」と短く、建設的に考えてはいかがでしょうか?
社員ネットプロモータースコア(eNPS)アンケート
多くの企業がネットプロモータースコアを社員の満足度の尺度として活用しています。社員ネットプロモータースコア(eNPS)は、同じことを社員同士の間で行うものです。
その結果を左右するのは1つの基本的な質問に対する回答です。「0から10のスケールで、私たちの組織を働く場所として推薦する可能性はどの程度ですか?」その上で、雇用主はそのスコアを3つのカテゴリーに分類します。
- 0-6 批判者: 自分の仕事に不満があり、雇用主のビジネスを推薦しない社員
- 7-8 中立者: 組織へのコミットメントが十分でない、概ね幸福な社員
- 9-10 推奨者: 最も満足度が高く、前向きな社員
その後、雇用主は推奨者から批判者の人数を差し引き、その答えを全回答数で割ります。この合計に100を乗じたものがeNPSとなります。スコアは-100点から100点の間で、0点を超えると通常許容範囲とみなされます。10点から30点までは「良い」、50点以上は「素晴らしい」スコアと言えます。
年次アンケート
社員への満足度年次アンケートの質問は、他のプロセスで使用される質問よりも詳細になる傾向があります。これらのアンケートは、組織の文化を包括的に把握するためのもので、最大限の効果を得るためには、できるだけ多くの人に送るようにすべきです。
年次アンケートの質問の典型例
年次アンケートは自由度が高いです。チームワーク、会社のリーダーシップ、ワークライフバランスなど、さまざまな質問に対して採点し、フィードバックしてもらうのです。
年次アンケートの質問数に決まりはありませんが、40問を超えると回答者にアンケート疲れを感じさせる可能性があります。パルスアンケートや360度アンケートよりも深いインサイトを得ることができる機会ですので、より踏み込んだ回答が得られるよう、オープンな質問とクローズドな質問を用意しましょう。
社員への満足度アンケートを効果的に行うための5つのアドバイス
どの種類の社員への満足度アンケートであっても、有意義な回答を得ることや、組織に前向きな変化を起こすことに直結する要素がいくつかあります。
1.アンケートの機密性を確保する
アンケートで最もインサイトに満ちた、正直な回答を得るためには、機密保持が重要です。フィードバックのプロセスを重視し尊重する組織であれば、安心して回答してもらえるはずです。社員が自分の意見を正直に言えなければ、職場に満足している可能性は極めて低いでしょう。
2.難しい言葉づかいは避ける
不必要に難解な言葉は、アンケートの回答の質を低下させる可能性があります。明確でシンプルな質問が、人々が自信を持ち正直なフィードバックをするうえで役立ちます。どのような満足度を測定しているのかが常に伝わるように、言葉遣いに注意し、すべてのアンケートで一貫性を保つようにしましょう。
3.期限を設定する
回答者はアンケートの回答期限はいつなのか、スケジュールを把握する必要があります。あまりにも先の日付だと回答を忘れてしまいます。また、期限が短すぎる場合、回答者はせかされて焦って回答することになり、結果が正確なものでなくなる可能性があります。回答期限は色々と試すこともできますが、1週間程度が適当である場合が多いです。
4.結果を分析する
満足度アンケートの作成、配布、完了にいくら労力をかけても、結果を分析しなければ意味がありません。遅くなりすぎないうちに分析を行いましょう。データを放置して、分析が無意味になるような事態は避けましょう。結果はできるだけ早く精査し、新しい従業員体験ポリシーやプロセスに反映させる必要があります。
5.変化を伝える
満足度アンケートを通じてフィードバックを共有した後、企業がそれを無視したように感じると、人々は不満を募らせることがあります。そのため、アンケートへの回答が根本的な変化のきっかけとなった場合でも、日常的なプロセスの小さな微調整にとどまった場合でも、できるだけ早く企業側がとったアクションやアップデートを伝えることが重要です。
社員への満足度アンケートで尋ねるべき4つの質問
仕事の満足度アンケートにはさまざまな形態や規模のものがありますが、どのアンケートにも共通する重要な質問事項があります。
自分の仕事に意義を感じていますか?
Workhumanのアンケートでは、社員が会社にとどまる理由の第1位は「自分の仕事に意義を感じる」でした。回答者の32%が、雇用主への忠誠心を維持する動機としてこの回答を選んだのです。チームメイト、給与、企業文化はいずれもより下位にランクインしました。
会社の企業文化は好きですか?
またその理由は?これは、従業員体験向上に注力する企業にとって重要な指標となります。米国人材マネジメント協会(SHRM)の調査によると、過去5年間に米国人の5人に1人が悪い企業文化を理由に離職しており、そのコストは実に30億ドルにのぼることが明らかになりました。この質問への回答については、その背後にある詳細を理解するために、さらに深く掘り下げてください。
会社を「働きやすい職場」として推薦する可能性はどの程度ありますか(1~10点)?
eNPSの質問は、しばしば社員の満足度のリトマス試験紙と考えられています。多くの企業では、優秀な採用候補者を推薦した従業員にインセンティブが与えられますが、これには理由があります。ビジネスを最もよく知る人材、つまり社員を採用プロセスの中心に据えて、時間効率のよいプロセスを実現しているのです。優秀な人材を紹介することは現在の従業員にとって利益となり、さらに経営陣にとってもチームにとってもウィンウィンなのです。
もし明日仕事を辞めるとしたら、どんな理由で辞めますか?
この質問によって、ビジネスの健全性について、最も明瞭で思いがけないインサイトを得られます。社員への満足度アンケートの質問においては、インパクトのある変化につながる率直な回答を引き出せるかが重要であることを忘れないでください。