従業員体験とは?

満足度の高い職場は、良い従業員体験がなくては作れません。では、良い従業員体験とはどのようなものでしょうか。ここでは、知っておくべきポイントをご紹介します。

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What is Employee Experience? - Workplace from Meta
チームリーダーシップとは

世界は根底から変わり、社員は以前よりも多くのことを職場に求めるようになっています。働き方が変わった今、社員はより良いワークライフバランスとウェルビーイング(心身の健康)を仕事に求めるようになりました。

では、これは社員と企業にとって、どのような意味を持つのでしょうか?まずは、従業員体験を定義することから始めましょう。

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従業員体験とは?

従業員体験とは?

従業員体験(EX)とは、要するに「会社で働いていて実際に感じること」であり、良いことも悪いこともすべてひっくるめたものです。これは、採用から退職時の面接まで雇用ライフサイクルのすべての段階で経験するもので、退職後の社員が社外のネットワークで会社をどの程度支持してくれるかにも影響します。

EXは、企業が価値観や文化を世間にどう示すか、誰かの最初の応募にどう対応するかなど、あらゆることに影響される可能性があります。新規採用候補者は入社後すぐに、その組織について無意識のうちに一連の評価を下しています。

かつては、こうしたタッチポイントや「モーメント」は物理的な職場環境の中で起こっていました。しかし、今や人々はさまざまなハイブリッドな方法で仕事をするようになり、EXにはオンライン環境も含まれるようになりました。

では、自分の会社が良い従業員体験を提供できているかどうかを知るにはどうしたらよいのでしょうか?以下は自分にまず問いかけるべき9つの質問です。

  • 社員は幸福感をもって仕事に取り組んでいますか?
  • 社員は、会社、リーダー、ビジョンにインスピレーションを感じていますか?
  • 社員はリーダーを信頼していますか?
  • 社員はリーダーが自分たちの声を聞いてくれていると感じていますか?
  • 社員は会社のインクルージョン、エクイティ、ダイバーシティの実現に向けた取り組みを積極的に支持していますか?
  • 仕事はあらゆる年齢や経歴の社員にとって有意義ですか?
  • 会社や社員は(固定概念ではなく)成長概念を持っていますか?
  • 社員は同僚や顧客の生活を改善できていると感じていますか?
  • 仕事を効果的に進めるために、適切なツールやシステムが提供されていますか?
従業員体験と社員エンゲージメントの違いとは?

従業員体験と社員エンゲージメントの違いとは?

従業員体験と社員エンゲージメント(EE)という用語は同じ意味で使われることが多いのですが、この2つは異なる概念です。単純化して言えば、社員エンゲージメントは、良い従業員体験の結果です。そのため、EEがマネージャとしての重要な成果の1つであるならば、EXはそれに繋がる重要な要素になります。

また、EXは社員を引き留めるための取り組みではなく、社員の仕事に対する意識の問題であると考えることが大切です。組織として優れたEXを達成することができれば、自然と高い水準の社員エンゲージメントが得られるはずです。

この点について、オックスフォード大学サイードビジネススクールにおける従業員体験研究によれば、満足度の高い社員は生産性が13%高いことが明らかになっており、EXは個人のエンゲージメントだけでなく、ビジネス全体のパフォーマンスにも不可欠な要素であるとされています。

従業員体験はなぜ重要か?

従業員体験はなぜ重要か?

良いEXは、社員の働きぶりや協調性、会社全体の業績への貢献度など、ビジネスのさまざまな分野に影響を及ぼします。良い従業員体験により得られるメリットとしては、以下が挙げられます。

文化

真正性と誠実さは社員体験の重要な要素であり、まずはリーダーがそれを示さなければいけません。リーダーは誠実さ、公正さ、そしてポジティブな職場文化にふさわしい価値観を示すことが必要です。

人材

雇用主は競争が激化する市場環境の中で新しい人材を確保するという課題に直面しています。組織は、社員の望みやニーズを理解しながら、従業員体験を改善しつつ、最適な人材を獲得・維持するための新たな方法を見出さなければなりません。

欠勤の削減

欠勤対策の観点からEXは極めて重要です。社員が会社やその目標、価値観に共感し、コミットしていれば、必要以上に休みを取ることは少なくなります。その結果、生産性やチーム全体の士気の低下を防ぐことができるのです。

収益

顧客体験と同様に、優れた従業員体験は収益に大きく影響する可能性があります。Harvard Business Reviewで発表された研究では、従業員体験を改善することで収益が50%以上増える可能性があることが分かりました。

イノベーション

革新的な企業には競争上の優位性があり、EXが優れている会社は、EXのスコアが低い会社の2倍革新性がある可能性があります。

定着率

社員の引き留めは簡単なことではありませんが、従業員体験が優れているほうが引き留めが容易になる可能性があります。社員が職場を気に入っていれば、自然と職場に残るようになります。

ただし、良い従業員体験を作る取り組みは、新しい社員を雇用して入社させたら終わりではありません。社員のニーズを満たすために常に見直すべき、継続的なプロセスです。

従業員体験を管理する方法

従業員体験を管理する方法

「従業員体験マネージャ」「従業員体験責任者」といった役職名があることは、EXがいかに重要な存在になっているかを示しています。そのため、今では学問分野として認められているほどです。彼らは具体的に何をしているのでしょうか?


例えば、従業員体験マネージャは、従来の人事、IT、マーケティングチームと連携して、従業員体験の戦略を実現します。まとめると、社員のライフサイクルにおけるあらゆるタッチポイントや「モーメント」に、ポジティブにかつ計画的に影響を及ぼす役割を担っているのです。


とはいえ、ポジティブなEXは1人では達成できないことを忘れてはいけません。組織内のすべての社員が、ポジティブな文化を守り、社員が最高の職場体験をできるようなシステムと価値を維持する責任を負っています。

職場の従業員体験を改善する方法

職場の従業員体験を改善する方法

従業員体験を改善したいのであれば、社員ライフサイクルのいくつかの重要なステージに注目すると良いでしょう。ここではそのうちの4つをご紹介します。

  1. 採用

    EXは、潜在的な社員が求人広告を見た瞬間、あるいは友人や連絡先から求人のことを聞いた瞬間から始まります。それは、応募や面接のプロセス、そしてリーダーが候補者に初めて会ったときの対応に至るまで、ずっと続いています。面接に来てくれた候補者にすぐにメールでお礼を言いますか?それとも他の人と面接している間、何週間も放置しておきますか?

  2. オンボーディング

    今では多くの企業が、優れたオンボーディング体験の重要性を認識しており、リーダーがEXにそれなりの配慮をする分野の1つとなっています。メンター制度やバディ制度は、新人の熱意を維持し、自信や能力、チームへの帰属意識を高めるための確立されたツールです。

  3. 開発

    EXに真剣に取り組んでいる企業は、優れた社内コミュニケーションに投資しています。また、従来の年次ごとの業績評価とは別に、より頻繁に社員の体験や「パルス」サーベイを行う傾向がありますが、そのおかげでマネージャーは即座にフィードバックを得ることができます。


    また、評価や報酬に関してもより進歩的で、より頻繁により多くの社員の個別の要望に応えることができます。企業によっては、自社のプラットフォーム上で人を社会的に評価することで、幸福感やモチベーションを高めているところもあります。

  4. 評価

    組織の中では、毎日素晴らしいことがたくさん起こっています。頑張る仲間に声をかけ、称えることは、大切にされていることを実感させるのにとても有効です。

つまり、従業員体験を人としての体験と考えるとわかりやすいでしょう。社員は自分の役割に目的と意味を見出すことができていますか?社員は所属する組織やブランドと永続的なつながりを享受することができていますか?社員一人ひとりが個人として見なされ、そのように扱われていますか?社員にとって思い出に残る有意義な時間をプレゼントすることで、社員のエンゲージメントを高めることができます。

従業員体験を測定する

従業員体験を測定する

従業員体験は、以下のようにさまざまな方法で測定できます

  • パルスサーベイ – 社員が感じていることについて、社員から即座にフィードバックを集める方法です。

  • 退職者アンケート – 改善点を把握するために、退職する社員から正直なフィードバックをもらう方法です。

  • 社員のネットプロモータースコア – 社員が現在の職場を他人に勧める可能性がどのくらいあるかを把握する方法です。従業員体験の良い指標になります。

  • 定着率 – 退職者の数が少ないほど、職場の満足度は高くなっています。

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