自分に適したリーダーシップスタイルとは?11の選択肢
リーダーはただ指示を出し、社員はそれに追従する。そういう時代は遠い過去のものになりました。現在は、「リーダー」と一口に言ってもさまざまなスタイルがあります。自分に最も適したスタイルはどれでしょうか。
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リーダーシップスタイルとは
リーダーシップスタイルとは、チームを導き、鼓舞し、監督するときに使う手法のことです。
皆それぞれ独自の方法を持っていますが、その特徴や性質はいずれかのスタイルに当てはまります。リーダーの運営方法には、性格、スキル、価値観、過去の経験のすべてが関わってきます。なかには互いにかなり似通っているスタイルもありますが、それぞれに長所と短所があり、どのスタイルを採るかによって組織としての戦略的なアプローチが決まることもあります。
管理職のポジションに応募した場合には必ずと言っていいほど「自分のリーダーシップスタイル」を聞かれるので、それに対する答えをあらかじめ知っておくと有利です。
以前にも増して自分の行動が細かく見られていると感じるリーダーが半数近くに上っている現状では、自分の選んだスタイルがチームや会社のブランドに大きく影響することもあるでしょう。
リーダーシップに基本的なスタイルがあることを初めて認識したのは心理学者のクルト・レヴィンで、1930年代のことです。その基本的なスタイルは、その後に提唱された多くのスタイルの基礎になっています。
Workplaceで業務を簡素化
オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。
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自分に適したリーダーシップスタイルとは
おそらく誰にも、自分が自然と志向するリーダーシップスタイルがあるはずです。それは自分の個性に合ったものであり、リーダーとして一番無理をしなくて済むものです。
ただし、自分のことだけを考えればいいわけではありません。チームのことも考慮に入れる必要があります。例えば、比較的経験の浅いチームを率いる場合は、指示出しが多めのスタイルを選ぶのが理に適っています。反対に、業務量の管理を各自に任せられる場合には、コーチ寄りの役割を果たすのがよいでしょう。
自分のリーダーシップスタイルを知ることは重要であり、次のようなメリットがあります。
リーダーとしての自分の強みをベースにできる
伸ばす必要のあるリーダーシップスキルが明確になる
社員を導き、フィードバックできる
自分の思考プロセスをより良く把握できる
自分の決断の仕方と目標設定の仕方を考慮できる
ビジネスの短期・長期の戦略を形成できる
社員にどのように見られているかをより良く把握できる
リーダーとして成功するには、自分自身のことをよく知らねばなりません。そのためには自己認識も重要ですが、部下からのフィードバックも有用です。聞きたくない声も時には届くでしょうが、遠慮のない正直なフィードバックであればあるほど、自分の成長と改善につながります。
幸い、リーダーシップスタイルに唯一絶対の正解はありません。状況に合わせてアプローチを変える必要が出てくることもよくあります。また、経験を積むにつれて自分のスタイルも徐々に進化していくことでしょう。しかし、だからこそ、さまざまなリーダーシップモデルを知っておくことが有益です。状況的に妥当な場合に自信を持って別のアプローチを選べるようになり、はるかに優れた、より完成されたリーダーになることができます。
11のリーダーシップスタイル
長年の研究で考案されてきた数多くの理論や枠組みによって、さまざまなリーダーシップスタイルが明らかになっています。ここではその主要なものを紹介します。
専制型
別名: 独裁型
専制型のリーダーは、全権限を握り、決断時に自分以外からのインプットは求めず、求めるとしてもごくわずかです。軍の司令官のように、何をいつすべきか明確に指示を出します。
長所: 専制型は、迅速な決断や規制遵守が必要な場合に非常に効果的です。新人で経験のない社員には明確な方向性を示せます。
短所: 細かく指示を出すマイクロマネジメントは、ストレスや威圧感を感じさせることがあり、コラボレーションやクリエイティビティが生まれる余地がほとんどありません。1人のリーダーに頼りすぎてしまうリスクもあります。
権威型
別名: ビジョン型
権威型のリーダーは、組織として成功するために必要な方向性を理解し、少々の挫折ではひるみません。独裁型とは異なり、未来への明確なビジョンを定め、全員でそこに到達できるように全体の方向性を示します。
長所: リーダーのビジョンに賛同する気のあるチームなら、モチベーションが生まれ、各自がベストを尽くすように行動する可能性が高くなります。また、先行きが不透明な時期でも障害を乗り越える自信が根付きます。
短所: 権威型のリーダーは、長期的なことに集中するあまり、いま目の前で起きていることへの注意がおろそかになることがあります。エゴが邪魔をして、他者の考えを聞かなくなることもあります。
官僚型
官僚型のリーダーは、ルールを厳格に守り、部下にも同じことを求めます。他人の意見を考慮することもありますが、それが会社のポリシーと合致しない場合、行動に移すことはありません。このスタイルのリーダーは、現在すでに成功を収めている大企業や老舗企業、あるいは安全上のリスクがからむ仕事に最適です。
長所: 官僚型のリーダーは、社員を安心させる安定をもたらし、失敗のリスクを減らします。曖昧なところがなく、効率的で、社員が自分の立場を把握しやすくなります。
短所: あまり自由を許さないスタイルなので、柔軟性やクリエイティビティ、イノベーションに依存している組織では、その効果が大幅に落ちます。
コーチ型
コーチ型のリーダーは、チームメンバーそれぞれの才能を育てます。各自の強みと弱みに着目し、長所を伸ばし、短所を克服できるようサポートします。新たな仕事を引き受けるよう促したり、適宜、指導やサポート、建設的なフィードバックを与えたりすることもあるでしょう。このタイプのリーダーは、社員がチームの一員であることを喜ばしく思っている場合に最も効果的です。
長所: コーチングを受けた社員は、支えられ大切にされていると感じるので、モチベーションが高まります。このスタイルのリーダーは、社員一人ひとりが無二の存在で、他者とは違う貢献ができるものと考えています。
短所: コーチングには忍耐力が必要で、結果が出るまでに長い時間がかかることもあります。チームメンバー間の相性がよくなかったり、仲間意識がない場合には効果がありません。
放任型
別名: 委任型
社員のなすがままに任せるスタイルです。つまり、いつどうやって業務を遂行するかを社員に決めさせます。Niagara Instituteによれば、リーダーの84%以上が、業務の遂行方法を社員に選ばせています。放任型は最も干渉が少ないスタイルで、ほとんど指導をしません。リモートワーカーや、スキルの高い人材が揃っているスタートアップに適したタイプかもしれません。
長所: 互いへの信頼と自律のレベルが高いので、放任型のリーダーの下で働く社員は、大きな自由とリラックスした社風を謳歌できます。
短所: 社員の能力開発という点では限定的なので、指導や研修を必要とする新人や経験の浅い社員には適していません。また、役割と責任が曖昧になってチームの結束が弱まる可能性もあります。
ペースセッター型
ペースセッター型のリーダーは、意欲的な目標を設定し、社員に期待することを具体的に示します。このタイプのリーダーは、四半期目標を達成できるよう発破をかける必要がある営業チームで効果を発揮する場合があります。
長所: ペースセッター型のリーダーが作る環境は、目標達成の緊迫感が生まれるので刺激的に感じられます。結果を出そうというチーム内のモチベーションが高くなります。
短所: 目標が非現実的な場合、ペースセッター型のリーダーはストレスの強い職場環境を生み出してしまうことがあります。クリエイティビティが押さえつけられ、チームが参って燃え尽き症候群に陥ってしまう可能性があります。
参加型
別名: 民主型
このタイプのリーダーは、最終的な決定権は握りつつも、部下の声に耳を傾け、意思決定プロセスにも参加させます。Niagara Instituteによれば、リーダーシップスタイルとして最も一般的です。責任を共有し、誰もが一員であると感じられる協働的なアプローチを取ります。
長所: 参加型のリーダーの下では、自分に権限が与えられている、大切にされているという感覚がチームに生まれます。これにより、生産性が向上し、社員の定着率が高くなる可能性があります。
短所: コンセンサスを得るのに時間を要するため、迅速な決断が必要な状況には適していません。また、重大な決断を下せるだけの専門性を持ちあわせていないチームメンバーに負担を感じさせてしまうこともあります。
サーバント(奉仕)型
自分以外の人のニーズを優先するスタイルです。サーバント型のリーダーは、率先して手本を示し、強いコアバリューを持ち、チームのために倫理的に正しい決断を下します。同僚同士が強い絆を築き、ともに問題解決に挑むことができる環境を作ります。
長所:一人ひとりの考えが尊重され、ポテンシャルをフルに発揮するための自由とサポートがチームメンバーに与えられるため、ポジティブな企業文化を作ることができます。
短所: サーバント型のリーダーは、特に競争の激しい環境では、自分よりも威厳のあるリーダーの陰に隠れてしまうことがあります。また、迅速な決断が必要な場合や、締切がタイトな場合は適していません。
ソフト型
ソフトなリーダーシップは、叱りつけるのではなく、共感、オープンな態度、聞く力などのソフトスキルを駆使してチームを導くスタイルです。社員の貢献を高く評価し、絶えず社員をサポートします。健康的なワークライフバランスが推進されている現代のハイブリッドな職場では、ソフトなリーダーシップのスキルが欠かせません。
長所: ソフト型のリーダーシップのもとでは、非難されずに失敗できる余地が与えられます。これにより、人と人との関係が近くなり、職場での対立が減ります。
短所: 上司というよりも友達に近い存在になってしまうと、リーダーとして難しい決断を下さねばならない場合にも「けじめ」がなくなってしまう恐れがあります。また、ソフトスキルは簡単には測れないので、このスタイルで望んだ結果が出ているかどうかを証明するのが難しくなることがあります。
取引型
別名: 管理型
飴と鞭を使い分けるスタイルです。このタイプのリーダーは、チームメンバーに明確な指示を出し、タスクを期日内に完遂することを求めます。努力した者にはそれを称える褒美を与え、期待に添う働きができなかった者には罰を与えます。
長所: 一人ひとりの役割と責任が明確になり、社員が平等に扱われます。パフォーマンスが物差しになるので、野心的な人や金銭的な報酬でモチベーションが上がる人が活躍するケースが多くなります。
短所: モチベーションアップのための報酬を重視しすぎると、それ以外の部分、例えば社員のクリエイティビティや個人の成長、チームワークなどが妨げられてしまうことがあります。リーダーは、冷淡な人間というイメージを持たれ、社員と実のある関係を構築するのに苦労するかもしれません。
変革型
このスタイルの下では、イノベーションを後押しし、変化を促す環境が生まれます。変革型のリーダーは、組織の目標達成に貢献するだけでなく、社員が各自のポテンシャルを最大限に発揮できるよう刺激します。また、感情的知性が高く、モチベーションを上げることに長けている傾向があります。
長所: 新たなスタートを切ろうとしている組織で高い効果を発揮します。達成すべき個人目標をリスト化し、その達成スケジュールを設定すると、生産性、エンゲージメント、士気が向上する可能性があります。
短所: 個人の成長に目が行きすぎて、リーダーとして会社の目標を見失ってしまうことがあります。また、対処できないほどの課題を社員に与えてしまうと、燃え尽き症候群に陥りかねません。
ここまで見てきたように、リーダーの役割を果たす方法はさまざまで、それぞれに長所があります。結局のところ、自分らしくあることに勝るスタイルはありません。ただし、新たなスキルの習得には取り組みましょう。